LINEのスタンプを作ったのにシンガポールで発売を許可されなかったよ
いくさんはすっかり乗り遅れてしまったのですが、既に日本の情報インフラになっているLINEアプリ。
僕は頑固者なので、ここまでLINEを持たなかったんだからもう一生持たないなどと意固地になっていたのです。
でも噂に聞くに、LINEには何やらスタンプというものがあり、40枚イラストを描くだけで世界中の皆がこぞって買ってくれ、田舎に城が建つというではないですか。
遅ればせながら乗るしかない!!!このビッグウェーブに!!!
というわけで、こんな僕も32歳にしてLINEデビューを飾ったわけです。ごめんなさい。
で、ちゃらちゃらとLINEのアカウントをこさえて初めて気づいたのですが、そもそも僕は電話が大嫌いなのでSIMカードをもっていないのでした。
SIMカードがないとLINEの成人認証を突破できず、新しくお友達を追加することも、お友達から検索で見つけてもらうこともできないのです。
一人ぼっちのコミニュケーションアプリほど、しょうもないものはありません。 まるで無人島の糸電話。
やっぱLINEってクソだな。
おっと、クソとか言うとJessicaさんに怒られちゃいますね。
それは困るので深夜のコンビニにSIMカード買いに走り、めでたく年齢認証突破してお友達もたくさんできましたとさ。めでたしめでたし。
で、いよいよスタンプデビューを飾るべくクリエイター用のサイトにLINEアカウントを登録しました。
しかしまたここで問題発生!!!
「 振込先の登録にはマイナンバーが必要です」
出た、マイナンバー。 1年くらい前にニュースになっていたときには高みの見物というか、海外在住の自分には関係ない話だとタカをくくっていたのですが、ここにきてマイナンバーに阻まれる結果になってしまいました。
そもそもマイナンバーは市町村の住民票に紐ついてるらしく、僕のように住民票を抜いて海外在留届を残している人間は、日本国籍を持っていてもマイナンバーを発行してもらえません。
ここで詰んだかと思い、じっくりLINEのサイトを見ていると、どうやら日本人じゃない人たちがスタンプを登録する方法があるようです。
もちろん外国に住んでいる外国人は日本のマイナンバーを持っていませんので、銀行振り込みではなくPayPalでの支払いとなります。 そして当然これにはマイナンバーは絡んで来ないようです。
僕に残された道はもうこれだけです。既に持っていたPayPalアカウント入力して登録ボタンを押しました。
「 お客様のPayPalアカウントは個人用ですので使うことができません(英語から意訳)」
な、な、なんですとー!?
つまり日本人でない場合海外在住である場合は、PayPalの法人アカウントが必要になるようです。 日本に住んでる日本人だと本当に気軽にイラスト描くだけでスタンプに登録できるようですが、一歩日本の外に出るとなかなかハードルが高くなります。これを本当に困りました。僕はしがない個人ですので、法人アカウントなど当然持っていません。
しかしここはいい加減ないくさんですので、ないものは作ってしまえばいいじゃないかという方向性で頭を切り替えました。
PayPalのサイトをよく読むとどうやら個人、個人事業主、法人の、3種類のアカウントを作ることができるようです。
個人と法人というしっかりした定義の間に、個人事業主というなんともふわふわした響きのカテゴリーが存在するではありませんか。まずはここから攻めてみることにしました。
PayPalの個人アカウントは本当に簡単に作れてしまいますが、個人事業主や法人は、代表者の本人確認書類の提出や住所確認などが必要となり、登録まで1週間程度かかりました。
まず本人確認書類は、日本の運転免許証の裏表を携帯でスキャンしてサイトに添付して送ると、3日後ぐらいにはもう確認が取れた旨のメールが飛んできました。問題なのは住所確認です。
これはPayPalの会社から日本の住所に葉書が郵送されて、その葉書に書かれた暗証番号入力することによってそこに実際に住んでることを確認するというものです。
なのでとりあえずちゃっかり実家の住所を登録し、親様に確認の代行してもらいました。
それでめでたく個人事業主としてPayPalアカウントができたわけですが、LINEの会社は法人アカウントを要求しています。これは困ったと思っていたのですが、PayPalのホーム画面に「ビジネスにアップグレード!!」という景気の良いボタンがあるではないですか!
とりあえずこれをポチっと押すと、なんとその瞬間に法人アカウントにアップグレードされてしまいました。
いまだに個人事業主アカウントと法人アカウントの違いがよくわかってないくさんですが、これでLINEの要求する振り込み条件を全て満たしたことになります。実際何のエラーもなくLINEにクリエイター登録が完了しました。
ようやく下準備が整ったので、いよいよイラストを描き始めました。
しっかし、これがなかなか辛い。
最初はキャラクターがなかなか決まららず苦労しましたし、「ししもん」というライオンのキャラクターが決まっても40の図柄を用意するのは並大抵のことではなかったのです。
多くの友人に助言をいただき、何とかスタンプ40枚とアイコンとタブ画像に使うおまけの2枚を用意しましたが、これになんと1ヶ月近くかかってしまいました。
いよいよ頑張ってこしらえた40枚+2のイラストたちを加工してサイトに登録します。この登録にはいくつか条件があって場合によっては非常に厳しくチェックがなされます。
このチェックには一昔前は数カ月かかっていたようですが今では人員が増員されたようで1週間前後に短縮されています。僕の場合も登録してからちょうど1週間くらいで、めでたく審査落ちの連絡が来ました。
審査落ちの理由は、登録したイラストの加工がいい加減だったためです。 LINEのスタンプに登録するイラストは背景を透明化して登録しなければいけません。 僕はPhotoshopという有名なソフトを使ってスキャンした手書きのイラストを加工しているのですが、このときの操作がいい加減だったために、背景が1部分透明になってないままだったのです。
ぼくは生来ずぼらな人間ですので、こういったことは仕事でもプライベートでもよく起きます。数ヶ月待って審査落ちは凹みますが、おかげさまでわずか1週間で結果を伝えてくれたLINEに感謝です。
原因ハッキリしているので、Photoshopで再び必要箇所を修正し再度審査に応募しました。そして待つこと1週間。結果はやはり不合格でした。
LINEはとても親切で、ただ不合格なだけではなくその理由も詳しく説明してくれています。ただ、今回の不合格の理由は腑に落ちないものでした。
「異なる文化や習慣の観点から、販売できる国は次の25カ国に限定する必要があります(英語から意訳)」
文化の違いから受け入れられないとのことですが、特に害がないライオンのキャラクターですので、ぼくは困り果ててしまいました。何をどう改善すれば良いのか。
で、冷静に自分が描いたイラストを眺めてみると問題になりそうなのはこの2つです。
まずブタのキャラクターは、イスラム系住民が多い国ではよく思われないでしょう。またこれらの国々は性的マイノリティに対しても弾圧を行っているケースがあります。 したがってレインボー傘のスタンプは引っかかる可能性があります。
でも僕はブタが好きですし、ゲイ・カルチャーに関してもリスペクトしています。 そんなつまらない理由で発売できない国があるのであれば、こちらから願い下げです。
実際、発売が許可された25カ国というのは、見事にイスラム系の国々が除外されています。
しかも困ったことにシンガポールも除外されているのです。確かにシンガポールにはマレー系、インド系の人たちが多く住んでいます。彼らのなかにはイスラム教徒が多いですし、シンガポール政府はゲイカルチャーに関しても否定的です。っていうかゲイは違法です。
「シンガポールのししもん」というタイトルなのに、シンガポールで発売できないのは非常に悩ましい事態です。でも、だからといって自分の主張を曲げて、イラストを書き直すのは違うと思いました。なのでそのまま言われるとおりに、許可された国々だけに絞って発売を開始する設定にしました。
するとあっさり審査に合格し、無事LINEスタンプの発売にこぎつけることができました。ここまで苦節2ヶ月。そうLINEのスタンプ発売すると決めてからなんと2ヶ月もかかったのです。
そんなわけで発売を開始するとお友達が早速買ってくれたようです。
嬉しいじゃありませんか。2カ月の苦労が報われた瞬間です。
もちろん僕自身も買ってやろうと思いLINEのスタンプストアに行きました。
が、やはりシンガポールでは制作者自身であっても許可されてないスタンプを買うことはできないのです。購入ボタンがグレーアウトしてしまって押せません。
なんとも暗澹たる気持ちになりましたが、ここはいい加減ないくさんですので、シンガポールがダメなら、リージョンをしれっと日本に変更してしまえば良いのです。
ここで再び実家様に頼み込み、実家の固定電話を使ってLINEアカウントを日本に変更しました。てことは最初に買ったシンガポールのSIMカードって意味なかったんですね。無駄でした。
そんなわけで、非常に苦労しましたが、さまざまなトラップに引っかかりつつも全て乗り越え、自分で作ったスタンプを自分で使えています。この経験が誰かの役にたつかと思い、記事にしました。
またとても長い記事になってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
Lineスタンプ
ネムラ公式キャラクタ【ししもん】【Shishimon】【獅獅萌】のLineスタンプです。諸事情により「シンガポールのししもん」なのにシンガポールで発売することができてません。。。日本のLineアカウントをお持ちの方、どうぞ宜しくお願いします。