シンガポールを歩いていると工事現場の多さに驚く。住み始めて足掛け5年で未だに驚くのだからこの国の開発ペースは半端ない。
都心部はもちろんのこと、郊外でも新しい高層ビルが作られて、地面がほっくりかえされている。地面を掘るのは新しい地下鉄を建設しているかららしい。今は5路線しかない地下鉄網も、近い将来東京都心並の密度に整備されて、マレーシアへの直行列車もできる計画。
いろいろ揶揄されるものの、シンガポール政府の都市計画を確実に実行する力は僕は素直にすごいと思う。
なぜ1階部分をスカスカに建てるの?
シンガポールの高層住宅は1階部分がスカスカである。伝統的なプラナカン建築はこんな作りではないのに、どういう目的でこのデザインが定着したのか。風水的に縁起がいいのかな?
例えばこれはシンガポール郊外に絶賛建築中のコンドミニアム(高級マンション)。スカスカであることがひと目でお分かりいただけるだろう。それに壁と床の薄さ、柱の細さがヤバい。
こんな風に、細い柱で地上から浮き上がっているようなデザインが大流行している。出来るだけ細い柱で、出来るだけ高く持ち上がってるのが良いらしく、最近建築中の高層ビルは完成前から不安になってしまう。
僕の現地友人も8500万円もするコンドを御購入なさった。ご多分に漏れず4階に相当する部分まで柱で持ち上がっているスカスカ物件。お邪魔すると、内装も同様にかなりヤバいのだが、その話はおいおい書こうと思う。
地上でこさえたキューブ型の部屋をクレーンで積む
もう一つ、良くあるヤバい建築方法が、地上でひと部屋分をユニットとして成形して、それをクレーンで積んでいくスタイル。
まさに積み木の城だ。
この写真を見る限り、いわゆる大黒柱にあたるような全体を支える構造が見当たらない。ヤバい。
さらに、こんな造りの住宅でも買おうとすると一番安い部屋でさえ7000万円くらいするのだ。高層階だと1億はするだろう。
3.11に東京都心にいた身としては心配
シンガポールには地震が無いということになっているけど、アルプス・ヒマラヤ造山帯に乗っているマレー半島のさきっぽで活断層が無いと言い切るのは難しいのではないか。
そもそも、シンガポールの土地では長いこと人々が暮らしていたにも関わらず、イギリス東インド会社のラッフルズ御一行様が1819年に統治を始めるまで現存する文字による自然史の記録が無いっぽい。
だから、史実として地震が無いといっても最近200年程度の情報しかない。そんな根拠でこんなスカスカ物件を建ててしまっていいのだろうか。
僕が日本を出るきっかけにもなった東日本大震災。その日、僕は東京都心の高層ビルの15階にいた。その揺れ方は今でも覚えている。コピー機がR2D2のように動き回り、窓から見える隣の高層ビルは目に見えてしなっていた。
15階といえば、シンガポールの公団住宅HDBの高さとだいたい同じだ。日本の高層ビルは衝撃を分散するためにわざと揺れるように出来ているらしいけど、あんな地震がシンガポールで発生したらスカスカ物件はおしゃかであろう。
まとめ
まだバブリーな雰囲気を出しているシンガポールの不動産業界。今後は見た目の派手さだけでなく、目に見えない安全性にこだわった物件が増えていくといいなと思う。