ただでさえ運動音痴の僕にとって球技は悪夢でしかなく、学校の授業もできるだけさぼっていた。
経験ある球技はパチンコくらい。特にテニスなどは、今すぐ爆発すべきリア充の悪行としか思っていなかった。
つい先月までは。
歳とともに趣味は減っていく
二十代後半でシンガポールに移住した僕がふと気づくと三十路をすぎていた。そして趣味という趣味もなく仕事と家の往復。日頃の楽しみといえば家での晩酌のみ。
これでも学生時代はマラソンに参加したり、バイクツーリングやスキーに出かけていたのに。
日本での趣味をシンガポールで続け難いというのは一理あると思う。そもそもウィンタースポーツは不可能。車やバイクは重税が課されるしワインディングロードもない。
でもシンガポールでは日本と比べ物にならないくらい余暇の時間を取れるメリットがある。投資銀行とかよっぽどのエリートコースは知らないけど、普通のサラリーマンで毎夜寝る暇もないほど働かされることは無いはずだ。
というわけで毎日が退屈なのをシンガポールのせいにするのはお門違い。単純に歳とともに新しいことに挑戦する勇気が損なわれてるんじゃなかろうか。
誘ってもらったらとりあえず参加してみる
そんな感じで危機感を感じた僕は、自分を変えることにした。
具体的には「 誘ってもらったらとりあえず参加してみる」。
もともと興味が無いことでも、新しいことに挑戦していかないと、このまま面白みのないオッサンになってしまう。
なにやら楽しいことに引き込んでくれようとする人に恵まれたなら、乗らないのは損だ。
デカスロンのおかげで初期投資のハードルが低い
とはいえ、何事も始めるの物要りである。それほど興味の無いことに何万も初期投資するのはキツい。
そのソリューションになるのがフランスからやってきた格安スポーツブランドのデカスロン。
テニスラケットもざっくり2500円くらいで手に入った。その後、このラケットには若干問題が発覚するのだが「とりあえずテニスをやってみる」ためには最高のコスパだった。
テニスはステータス
日本でテニスを始めるとなると、月々数千円でスクールに通ったり、1時間数百円で公民館の施設を予約する感じ。でもシンガポールで一般的なのはコンドミニアムのテニスコート。
高級マンションであるコンドミニアムはプールやジム、テニスコートがついていたりするんだけど、家賃が10万円を超えてくる。しかもこの10万円はひと部屋の家賃だ。部屋を出るとリビングには別の部屋の住人や大家さんがくつろいでいる。1フラット全部借りると40万円を超えてくるので、赤の他人とルームシェアが普通なのだ。
そんな住宅事情のシンガポールなので、僕のように窓無し3畳間(通称:独房)で暮らす貧民層が産まれる。それでも5万円くらい払ってるんだよ。やばいっしょ。
だからテニスが出来る環境というのはある種のステータス。
今回混ぜて頂いているテニスグループも、そんなコンドミニアムにお住まいの方が主催してらっしゃる。いままであまり接する機会がなかった階層の方々と知り合うことができたのも、新しいことに挑戦したおかげだ。
テニス、面白い!
最初はボールを打ち返すことすら出来なかったけど、幸い僕以外にも始めて間もない初心者がいたし、ヒンシュクを買うこともなかった。それどころか親切にフォームや打ち方のコツを教えてくださる。最初に危惧していたウェーーーイwwwwなノリは全くない。
環境と人間関係に恵まれ、あとは技術の向上に邁進するまでだ。Youtubeでフォームを勉強しつつ、コツコツ練習すればいい。こういうコツコツ系の努力は好きなので、テニスを始めて本当に良かった。
今のところ三日坊主は打破した。僕の新しい挑戦はまだ続く。