三十路をすぎ、減っていく趣味と狭まる人間関係に危機感を覚えて、運動音痴のくせになかばヤケくそで始めたテニス。
でもこれが面白かったんだな。
先入観は良くないね
僕はどちらかと言うと社交的ではない。
楽しそうにしている集団のなかでうまく振る舞えなかったり、またはうまく振る舞えてないんじゃないかと無駄に不安になる。まさに『嫌われる勇気』の主人公のようだ。
そんなわけで「テニス」という響きにはずっと苦手意識を持っていた。日本での学校生活でテニスをやっているような人達とうまくやれた試しがないからだ。
でも、だからといってテニスというスポーツそのものに関しては食わず嫌いだった。実際やってみると、こまめな工夫や継続的な練習が必要な緻密なしろものだった。その手の努力はむしろ好きだ。
僕にとって課題となる社交性に関しても、誘ってくれた友人の一言が響いた。
「ボールを打ってる時は会話なんてほとんどしないんだから、極端な話、言語が通じない国に行っても続けられるスポーツ」
そこまで言われちゃやるっきゃない。
実際、今回仲間に入れていただいたグループは僕のような新参者にも丁寧に接してくれた。ありがたい話。挑戦して本当に良かった。
安物買いの銭失い!?
以前書いたように、フランス生まれの激安スポーツブランド「デカスロン」のお陰で、新しくテニスを始める経済的なハードルはめっちゃ下がっている。
ウェアやテニス専用のシューズはとりあえず普通のジャージと運動靴でいいし、必須のラケットにしてもざっくり2500円で手に入るのだ。
ひとまずテニスをやってみるだけならほとんどお金がかからないという素晴らしい時代。
でも、実際その安いラケットで練習していると、違和感を感じた。
僕が下手くそなのは当たり前にしても、ボールを打つ度に飛ぶ方向と勢いが激しく変わっていく。力加減をなんとか工夫してみたんだけど、先輩のを借りたら僕のテクニックだけじゃなくラケットにも原因があることが判明した。
ガットがゆるすぎてボールが当たるごとにストリングがズレていたのだ。それこそラケットに穴があいて打つ度に大きくなっていく感じ。
まぁ予めガットが貼られた状態で売られている「張り上げ品」だし、とりあえずテニスを経験してみる目的は達成している。なのでまだ5回使っただけだけどガットを張替えることにした。
ガットを張替えにQueensWayへ
シンガポールでスポーツ用品というと脊髄反射的にクイーンズウェイというIKEAの反対側にあるショッピングセンターを勧められる。
ここはLaksaという麺料理でも有名で、ココナツミルクの匂いに包まれた昔ながらの建物にスポーツ用品店がひしめいている独特の雰囲気だ。
今回ガットの張替えをお願いしたのは、2012年に錦織選手のラケットを手掛けたという三階にあるお店。クイーンズウェイには何店舗もガットを張り替えてくれる店があるんだけど、前回友達と来たときの接客が印象的だったのでここにした。即日どころか空いてる時は目の前で15分で仕上げてくれるのもいい。費用はストリング込みでざっくり2000円だった。
ここで驚愕の事実が判明する。僕の安物ラケットは中空のアルミ製のため、フレームの強度が足りず強くガットを張ることができないらしい。
おーまいごっと。
値段で決まるのは重さとかカッコよさとか初心者にはあまり関係ない部分だけだと思い込んでいた。安物ではデキないことというのがテニスを始めて5回目にして判明した。用具選びは重要だ。後の祭りだけど、ちゃんと調べてから買うべきだった。
ガットの張り替えは職人芸
僕より若いお兄ちゃんがテキパキと張り替えてくれた。弱いフレームなりに出来る限り強めに張ってくれるそう。彼は技術認証も取得しているその道のプロらしい。
なにやらメカニカルな装置に装着される僕のラケットちゃん。初心者を脱出するまで大切に使うという意味をこめて名前を募集する。カワイイ名前をよろしく~。
※ラケットの名前は「Neo」に決定しました!!ご応募ありがとう!
縦糸を張ってから横糸を通していく。この順序は厳格に決まっているようだ。なにも知らなかった。
ガットを張りは職人芸だ。キビキビ動く指先と機械の動きがかっこいい。
買った時に予め張られていたものとは全く別次元の出来栄えに満足した。次の練習までちゃんと打ち心地はわからないけど、とりあえず指で押したくらいじゃストリングがズレて穴が空くこともない。
生まれ変わった安物ラケットちゃんで僕のテニスライフは加速するぜ!