オバマ大統領の来日演説に登場して注目された抹茶アイス。
ここシンガポールでもGreen Tea Ice-creamはハーゲンダッツをはじめ普通に手に入る。抹茶アイスはけっこう世界で認知され、アジアを中心に定着までしている「日本式の洋食」の筆頭だ。
他にも明太子パスタ、カレーライス、ハンバーグとか、同じように日本食として現地に受け入れられている日本式の洋食はたくさんある。
イタリア人に日本のパスタを食べさて失敗
そんな感じで僕は「世界に受け入れられる日本食」みたいなものを日本人として無駄に誇りにしていた。
でも、日本で仕事を辞めてふらふらしていたときにイタリアからやって来た友達に明太子パスタを食べさせてその考え方は180度変わることになる。
その時は和風パスタをウリにする店に食べに行ったんだけど、明太子クリームとか和風キノコとか、イタリア人の彼はいつも食べている料理が勝手にアレンジされているのを気持ち悪く感じるらしい。その後、せっかく日本にいるのだからと寿司屋にも連れて行ったんだけど、ナマの魚(特に魚卵)っていうのがどうしても気持ち悪く感じるらしく、あまり楽しんでもらえなかった。
自分が美味しいと思った料理であっても、相手方の食文化やその人個人の好みを把握してからじゃないと喜んでもらえない。当たり前のことなんだけど、僕はこの時始めて学んだ。
自分が海外に出て逆の立場に
その後、僕も日本を離れて生活することになり、真逆の立場に立たされることになる。
シンガポールには日本食レストランが本当にたくさんある。在星日本人の間でよくきくのが、こっちの日本食レストランは高いのにあまり美味しくないという話。これはまさに和風パスタ屋に行ったイタリア人の気分なんだろう。
日本人駐在員がメインの居酒屋とかもあるけど、シンガポールの日本食レストランのメインターゲットは当たり前だけど人口が多い現地のシンガポール人だ。だから、こっちの日本食レストランの味は現地で受け入れられるようにアレンジされている。そこに「日本の日本食」を求めて行くと、違和感を感じるわけだ。
日本で成功した外食ブランドが海外進出している場合は日本そのままの味が強みの場合もあるけど、シンガポール資本でシンガポール人向けにやっている「日式」料理屋はこの傾向が強い。
この寿司が食えるか
いまでは僕も国ごとに違う「好みの味」を面白く感じるほどに海外生活に慣れた。
ラーメンに油条(ようてぃあお)という中華揚げパンがぶっ刺さっていたり、野菜のあえ物が軍艦巻になってたり、茶碗蒸しにソーセージが沈んでいたりするのが面白い。しかも意外とイケる。
でも以前マレーシアに行った時、なかなか衝撃的な現地風寿司があったのでご紹介しよう。
駄菓子屋もビックリの着色。元が何なのか謎だけど、とびっ子のようなツブツブである。しかも1カン25円という値段設定。いろいろヤバい。
結局、このカラフル寿司を食べる勇気が出てこなかった。「気持ち悪い」「これは食べ物ではない」という脳の警告がガンガン鳴っている。
もしかすると、イタリア人の彼も、日本でイクラがまぶしてある明太子クリームスパゲッティを出された時に同じように感じたのかもしれない。
それ以来、外国人に日本風にアレンジされた「洋食」を勧めるときは、この時の感覚を思い出して嫌な思いをさせないように注意することにしている。