勝ち組を象徴するシンガポール5Cの次

シンガポール生活

「Singapore 5Cs」という言葉をご存知でしょうか。

シンガポールでステータス自慢するのに必要な5種の神器、Cash、Car、Credit card、Condominium、Country club membershipの頭文字だ。Wikipediaに項目まで存在する。

つまり、おカネ、クレカ、クルマ、コンドミニアム、ゴルフ会員権。この5つを手に入れれば周りに対してデカい顔できる。なんともキアス。

シンガポール人気質「キアス」
日本でいう「本音と建前」みたいな国民性をあらわす言葉がシンガポールにもある。それが「キアス」。福建語由来の言葉らしく漢字で書くと驚輸、英語だとKIASUで、Wikipediaにも項目がある。「負け組に堕ちる恐怖心」と解説されるキアスだけど、僕の感覚だとこんな感じ。 まわりを出し抜いて勝ちたい まわりを出し抜いて得したい...

しかも、最近は更なる高みである7Cや10Cまであるらしい。ヤバい(=^・・^=)!

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シンガポール・ドリーム

日本でも高度成長期には「いい学校・いい会社・いい人生」というジャパニーズ・ドリームが成り立っていた。この「5C」も同じ意味でシンガポール・ドリームと言える。

建国以来50年、半世紀の長きに渡りシンガポールの不動産は値上がりし続けていた。このような恵まれた経済環境で成り立つサクセスストーリーはこんな感じ。

いい学校(最高は政府奨学生として英国留学)を卒業し、いい会社(最高は官僚)に勤めて、最初の不動産を購入する。不動産価値は必ず上がるので、数年後にノーリスクで高値で売り抜け、前より良いコンドミニアムとクルマを買える。これを繰り返して作った財産をひっさげ、社交界である会員制ゴルフコースを政財界の要人とまわって名声とビジネスチャンスを掴む。

ところがシンガポールも最近はあまり景気が良くない。2012年頃に最高値をつけた不動産は、そこから11%も低迷している。

不動産を転がして財産をこさえるのが難しくなったことで、シンガポールの若者は、親の世代で王道だったサクセスストーリーからハシゴを外されてしまった。

不動産が焦げ付いて結婚できないシンガポール
先週はシンガポールの高級住宅街にそびえるコンドミニアムで優雅にテニスしてきた。バックパックを背負って僕がシンガポールに初めてたどり着いてから5年。その頃からの友人の邸宅だ。 この友人はパッと見ごく普通のシンガポール女子なんだけど、自分でコツコツ貯金したり一族郎党から少しずつ融資を募って、ヤルと決めたことは最短最速で実現...

これってなんとなくバブル崩壊後の日本っぽいよね。シンガポールもこれから失われたウン十年に突入してしまうのか。

僕個人的にはリー・クアン・ユー元首相のような辣腕のリーダーが現れることを期待している。そしたら僕みたいなダラリーマンは追い出されそうだけどね笑

新しい価値への転換

そんなわけで不動産価格の上昇に依存していたそれまでの価値「5C」を手に入れるのは、昨今とても難しくなっている。

唯一絶対的な成功の道がポシャったことで、人々の価値観は多様化していくはず。 今こそ自己肯定感を他人からの評価で満たすキアスなメンタルが変化するとき!

他人の評価で自己肯定感を支えるのを止めた話
南の島でフラフラした生活をしている僕だけど、信じられないことにもう33歳。堅実な同級生たちは、ぼちぼち家庭をもって子育てに邁進している。 先月久しぶりに帰国して、そういう子持ちの友達を訪ね歩いたんだけど、最近の幼児教育のテーマは「自己肯定感を育む」であるらしい。 大切なことだ。 例えば職場で理不尽な扱いを受けたとする。...

そのオルタナティブになりえるのは創造性クリエイティビティだと思う。

最近「キツい、カッコ悪い、給料安い」の3K労働だったホーカー屋台が見直されている。伝統の味を守る表現者として、若者がストールを経営し始めているのだ。すると、彼らをカッコよく発信するフォトグラファーや、Webデザイナーなんかの仕事もできる。

Next Generation: 12 Young Hawkers Shaping the Future of Singapore Food | The Peak Singapore - Your Guide to The Finer Things in Life
Young Hawkers Shaping the Future of Singapore Food: These 12 young hawkers take preserving and updating our local food heritage as their mission.

ここ数年のリノベーションで入れ替え可能なフードコートになってしまい、シンガポール伝統のホーカーご飯は急速に失われている。地元の若者が実際に行動を起こして新しい価値をつくっていくことで、伝統衰退に歯止めがかかればいいな。

ホーカーがフードコートに!地元の味を守れるか。
日本人が長いこと海外にいると寿司やラーメンが恋しくなるように、シンガポール人の心に染み込んでいるのがホーカーご飯の味。ホーカーセンターは500円も出せば海南チキンライスからスパゲッティ、日本食までなんでも食べられる屋台街だ。シンガポールの街

こんな風に伝統を前衛的にアレンジしようとしたら、シンガポールは最強だ。

なんといっても中華・マレー・インドに加え、それらが融合したプラナカン文化や、英国領だった名残のコロニアルまである。ベースになる伝統のバリエーションがここまで豊かな国は他に思いつかない。

そんなわけで、経済の低迷でオワコン化しつつあると思いきや、僕からするとシンガポールはむしろジワっと始まった感がある。

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