晴れて独り立ちした後、母親と娘が「友達親子」などと一緒にカフェに行ったり、それまでの関係を結び直すケースがある。
そこいくと息子と父親というのはどこかドライで、経済的に自立して実家を出た後は、もうほとんど他人のごとく疎遠になる。
僕が父親との時間を振り返ったときに、1番に思い出すのは近所の公園でキャッチボールしたことだ。やっぱり男という生き物は、女性に比べてコミニケーション能力に劣るものがあるのだと思う。だからじっくり話し込むような関係よりは、将棋で思考能力を競ったり、キャッチボールみたいに運動を介して遊ぶのがしっくりくる。
そんなことを思い出しながらシンガポールの街を歩いていると、そういえばこの国の人たちはキャッチボールしない。まぁそもそも野球が一般的じゃないっていうのはある。それにしても家の外で親子が遊んでいる姿をまず見ない。
計画都市シンガポールには、広大な芝生が空き地として残されている。こんなに恵まれた場所があるのにキャッチボールをしないのはもったいないなぁとずっと思っていたんだけれど。
ある日このような空き地でバトミントンを試みようとした。
ところが見た目より草の丈が高く、足を踏み入れると15センチも沈みこむこともある。そこに沼のように水が溜まってJessicaさんが大嫌いなカエルが住んでいたり、実はなかなかスポーツをするには向かない場所だった。
シンガポールで父親と息子が一緒に遊べる場所
そんなシンガポールで、野球を介して父と息子が親睦を深めるとしたらここだ。ジュロンの外れにあるバッティングセンター、その名も「ホームラン ベースボール」。
日本人野球リーグのポスターが貼られていたり、実際に秘伝の技を息子に継承する親父さんの姿も見られる。もちろん地元の人もたくさんいるのだけれど、もっぱら日本人駐在員様とそのご子息の練習場と化していた。
さながら東京郊外の昼下がり。しばらく忘れていた地元の雰囲気がそのままシンガポールに再現されていて、思わず懐かしくなった。
シンガポールのバッティングセンターで遊んでみた
特に用事がない暇な週末にJessicaさんとラーメンを食べに行き、天気が悪かったこともあり食後にすることがなくなった。
日本ならカラオケで2時間くらい潰す感じだ。
そんな折、Jessicaさんが「シンガポールにもバッティングセンターがあるらしい」などと言うものだから、そりゃ我らがネムラで取材に行かない理由がない。
さっそくUberでクルマを呼び、我々取材班はシンガポールの奥地で今でもひっそり営まれていると言うバッティングセンターへ向かった。
都心部から高速を使って15分ぐらいだった。
見よ!Jessica嬢のこの凛々しいフォーム。
シンガポールで野球よりも若干人気のあるソフトボールを打ち出すマシンもあれば、普通の軟式ボールが出てくる日本式のブースもある。球速も80キロから100キロ超まで選べて、左打ちも練習できる本格派。
ここは1発僕もかっこいいところ見せなくては。
などと無駄に息巻いてみたもののなかなか上手くいかないものですね、人生。
うん、知ってたよ。
見苦しい言い訳をするならば、普段テニスばっかりやっているせいか、野球のバットの振り方を完全に忘れてしまったように感じた。
テニスなど、リア充どもの悪戯だとつい最近まで決めつけていたのにも関わらず、やれやれ遠くまで来てしまったものだ。
見よ!Jessica嬢のこの凛々しい投球姿!
バッティングの他にもいわゆる「ストラックアウト」みたいなマシンも設置されていた。
僕といえば、このストラックアウトでも全然外しまくりで、生来の運動神経の悪さが遺憾なく発揮された休日の昼下がりでありました。
てゆうか、日本の潰れたバッティングセンターをそのまま持ってきたんじゃなかろうかってほど、雰囲気がまんま日本だった。
日本人のお父ちゃんと、その息子さんが熱心に練習に励む姿も見られ、若干酒に酔っていたこともあり、まるで日本にワープしたような非日常を味わうことができた。
連れてきてくれたJessicaさんに感謝だ。
そりゃまぁ日本に比べれば若干割高だけど、気になるお値段は充分庶民的な範疇。
今はテニスに熱中してるけど、僕のいい加減な性格からするに、ほどなく飽きるだろう。そうしたら本格的にバッティング練習しに通いたい場所である。
Homerun Baseball
住所:200 Pandan Gardens #01-01 Singapore 609336
電話:+65 6635 6315
休日は朝9時から、平日は午後1時から営業開始。結構夜遅くまでやっているようです。
https://www.hrb.com.sg/